ブランディング
「衣食住」なぜ「住」は学ばない?住宅業界の未来と義務教育を考える
公開日:2026/10/06
最終更新日:2026/10/06
こんにちは。工務店、リフォーム会社に特化したホームページ制作・ホームページ集客支援のゴッタライドです。
住宅業界では、職人不足や担い手不足、良い家づくりをしている工務店の価値がなかなか伝わらない、といった課題があります。一方で、家を建てる消費者側も「良い家とは何か」「住宅会社を何で選べばいいのか」をほとんど知らないまま、人生最大級の買い物をすることになります。
住宅業界をこれからも良くしていくためには、良い家をつくるだけでなく、「良い家を選べる人」と「良い家をつくる人」を子どもの頃から育てていく必要があるのではないか。今回は、住宅業界に長く関わってきたゴッタライドの視点から、「住」を学ぶことの必要性について考えてみます。
「衣食住」でなぜ「住」だけ習わない?
「衣食住」という言葉があります。衣服を着ること、食べること、そして住むこと。どれも私たちが生きていくうえで欠かすことのできないものです。ところが、学校で何を学んできたかを振り返ってみると、少し不思議なことに気づきます。
「衣」と「食」については、子どもの頃からいろいろな形で学んできました。でも「住」はどうでしょうか。私自身、改めて考えてみると、「家について、学校で何を習ったっけ?」と思ったんです。
「衣」は家庭科でちゃんと習っている
まず「衣」から。
家庭科の授業で裁縫をした記憶がある人は多いと思います。針と糸を使って縫ったり、ミシンを使ったり、ボタンを付けたり。衣服の素材や洗濯表示について学ぶこともあります。もちろん、それだけで服について何でも分かるようになるわけではありません。
それでも、
「服はどうやってできているのか」
「自分で服を手入れするにはどうすればいいのか」
といった、生活するための基礎的な知識に触れる機会があります。将来、洋服を買うときにも、まったく何も知らない状態からスタートするわけではありません。
「食」はもっと身近に学んでいる
「食」については、さらに多くの機会があります。
家庭科では調理実習があります。包丁を使って食材を切る。火を使って調理する。料理をつくって、みんなで食べる。
栄養についても学びます。「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」といった言葉を学校で初めて知った人も多いでしょう。理科では植物を育てることもありますし、体の仕組みや消化について学ぶこともあります。
そして何より、学校には「給食」があります。最近では「食育」という考え方も広まり、子どもの頃から「何を食べるのか」「食べることが体にどう影響するのか」を考える機会があります。
つまり「食」については、大人になって自分で食事を選ぶようになる前から、少しずつ知識を身につけているわけです。
「住」は何を習ったのだろう?
ここで「住」です。自分が小学生、中学生だった頃を思い出してみてください。家について、どんなことを習ったでしょうか。
もちろん、学校教育の中で住環境や暮らしについて触れる機会はあります。でも、
家はどうやって建てられているのか。
木造住宅は、どんな材料でできているのか。
誰が家をつくっているのか。
夏に暑い家と涼しい家では、何が違うのか。
冬に寒い家と暖かい家では、何が違うのか。
地震に強い家とは、どんな家なのか。
家は建てたあと、どうやって維持していくのか。
こうしたことを体系的に学ぶ機会は、決して多くありません。
家は毎日何時間も過ごす場所なのに、ほとんど知らない
考えてみれば、家というのは不思議な存在です。私たちは毎日、家で生活しています。
朝起きて、ご飯を食べて、学校や仕事に行く。
帰ってきて、お風呂に入り、家族と過ごして、眠る。
休日なら、一日の大半を家で過ごすこともあります。
人生の中で考えれば、家はとてつもなく長い時間を過ごす場所です。それなのに、「自分が住んでいる家が、どうやってできているのか分からない」という人は珍しくありません。
壁の向こう側がどうなっているのか。
なぜ冬になると寒いのか。
なぜ結露するのか。
なぜ地震が起きても壊れにくいのか。
家を建てるために、どれだけの人が関わっているのか。
知らなくても生活できてしまうので、知る機会がないまま大人になっていきます。
大人になったある日、突然「家を買う側」になる
家についてほとんど知らなくても、普段の生活ではそれほど困りません。問題になるのは、自分が家を選ぶ立場になったときです。
就職して、結婚して、子どもが生まれて。賃貸住宅が少し手狭になってきた。「そろそろ家でも建てようか」そんな話になった瞬間、それまでほとんど考えたことのなかった「家」について、一気に判断を求められるようになります。
土地はどうする?
注文住宅にする?
建売住宅にする?
工務店?
ハウスメーカー?
木造?鉄骨?
断熱性能は?
耐震性能は?
住宅ローンは?
変動金利?固定金利?
突然、知らない言葉が大量に出てきます。しかも、家は数万円、数十万円の買い物ではありません。何千万円というお金を払い、住宅ローンを組めば、その後何十年にもわたって返済していくことになります。
人生最大級の買い物なのに、判断するための「物差し」を持っていない
ここに、住宅業界が抱えている一つの問題があるのではないかと思います。
多くの人にとって家は、人生で最も高い買い物の一つです。ところが、その家を選ぶための基礎知識を学ぶ機会がほとんどないまま、購入する時期を迎えます。だから、家づくりを始めてから慌てて調べることになります。
SNSを見る。
YouTubeを見る。
住宅会社のホームページを見る。
住宅展示場へ行く。
営業担当者から説明を聞く。
そして短期間のうちに、「自分たちにとって良い家とは何なのか」を決めなければいけません。これは、かなり難しいことだと思うんです。
住宅業界の問題は「家を買うとき」より前から始まっているのではないか
私たちゴッタライドは、長年、工務店やリフォーム会社など、住宅・建築業界のWeb集客に関わってきました。
その中で、
「良い家をつくっているのに、その良さが伝わらない」
「価格だけで比較されてしまう」
「性能について説明しても、違いを理解してもらうのが難しい」
といった悩みに触れることがあります。もちろん、それを分かりやすく伝えるのがWebサイトやマーケティングの役割でもあります。
でも、もっと根本までさかのぼって考えると、一つの疑問が出てきます。
そもそも家について、子どもの頃ほとんど学んでこなかった人に、家を買おうと思った数か月、数年の間だけで「良い家とは何か」を理解してもらおうとすること自体に無理があるのではないかと。住宅会社の伝え方だけの問題ではないのかもしれません。
「衣食住」という、人間が生活していくための基本的な3つの要素。その中で、「衣」と「食」は子どもの頃から学ぶ機会がある。だったら「住」についても、家を買う直前になって初めて勉強するのではなく、もっとずっと前から知る機会があってもいいのではないでしょうか。
住宅業界が抱えている問題を考えていくと、実は「家を建てる会社」だけを変えても解決しない問題があるように思います。
家のことを知らなければ「分かりやすい家」が選ばれる
家の良し悪しを判断するための知識が、十分にない状態で住宅会社を選ぶことになったら、私たちは何を基準に選ぶのでしょうか。おそらく、多くの人が頼るのは「分かりやすいもの」です。
会社の知名度。
価格。
坪単価。
住宅設備。
間取り。
キャンペーン。
営業担当者の印象。
SNSで見たデザイン。
もちろん、これらも住宅会社を選ぶうえで大切な判断材料です。ただ、本来の家づくりには、それだけでは比較できないものがたくさんあります。
「良い家」を比較するのは、実はものすごく難しい
例えば、家電を買うときなら比較は比較的簡単です。
冷蔵庫なら容量や消費電力、サイズ、機能、価格。
テレビなら画面サイズや画質、機能、価格。
スマートフォンならカメラ性能、容量、バッテリー、価格。
メーカーが違っても、ある程度同じ項目を並べて比較できます。でも、家はそう簡単ではありません。同じ30坪の木造住宅でも、まったく同じ家ではありません。
土地が違います。
気候が違います。
日当たりが違います。
周囲の建物も違います。
そこに住む家族も違います。
家族構成も、生活時間も、家事の仕方も、休日の過ごし方も違います。
さらに、完成した家を見ただけでは分からない部分もたくさんあります。
壁の中がどうなっているのか。
どんな材料を使っているのか。
断熱や気密についてどう考えているのか。
構造についてどう考えているのか。
施工中にどんな管理をしているのか。
完成して10年、20年経ったあと、どんなメンテナンスが必要になるのか。
こうしたことまで含めて比較しようとすると、住宅会社選びは一気に難しくなります。
だから「数字」や「ブランド」が判断材料になる
何が良いのか分からないものを選ぶとき、人は分かりやすい判断材料を探します。
「有名な会社だから安心だろう」
「大手だから大丈夫だろう」
「この設備が標準で付いている」
「今なら○○万円値引き」
「月々○万円から建てられる」
「坪単価はこちらの方が安い」
こうした情報は、とても分かりやすい。
逆に、
「この会社は見えない部分まで丁寧に施工している」
「地域の気候を理解した設計をしている」
「大工や職人との関係を大切にしている」
「10年後、20年後まで考えて材料を選んでいる」
といった違いは、住宅についてある程度知らなければ比較することすら難しいものです。
結果として、本来は簡単に比較できないはずの家が、比較しやすい項目によって選ばれていく。これは消費者が悪いという話ではありません。判断するための物差しを持っていなければ、分かるものを基準に選ぶのは当然だからです。
家が「家電」のような商品になっていく
少し極端な言い方かもしれませんが、今の住宅を見ていると、ときどき「家が家電のようになってきている」と感じることがあります。
あらかじめ商品が用意されていて、
このプランならこの価格。
このグレードならこの設備。
このオプションを追加するとプラス○万円。
そして完成したものを購入する。
もちろん、住宅を商品化すること自体が悪いわけではありません。規格化することで価格を抑えられたり、品質を安定させられたり、打ち合わせの負担を減らせたりするメリットもあります。建売住宅や規格住宅が、その人の暮らしに合っていることも当然あります。
ここで考えたいのは、「商品化された住宅が悪いかどうか」ではありません。なぜ、住宅がそこまで「分かりやすい商品」であることを求められるようになったのか、ということです。
その背景には、住宅業界側が「分かりやすく売る」ことを追求してきたことだけでなく、買う側が家について判断するための知識を持つ機会が少なかったことも関係しているのではないでしょうか。
「売りやすい家」と「良い家」は同じなのか
住宅会社の立場から考えれば、商品を分かりやすくすることには大きなメリットがあります。
価格を明確にする。
プランを決める。
仕様を統一する。
選択肢を減らす。
営業担当者が説明しやすくする。
そうすれば、お客様も比較しやすくなりますし、会社側も販売しやすくなります。ただ、ここで一度考えてみたいことがあります。「売りやすい家」と「その人にとって良い家」は、必ずしも同じなのでしょうか。
例えば、家族4人だから4LDK。
LDKは20帖。
対面キッチン。
ウォークインクローゼット。
シューズクローク。
最近ならランドリールーム。
人気の間取りや設備を組み合わせれば、多くの人に「良さそう」と思ってもらえる家はつくれます。でも、本来の家づくりはもっと一人ひとり違うはずです。
朝、誰が一番早く起きるのか。
洗濯物は外に干すのか、室内に干すのか。
家族はリビングで過ごすことが多いのか、それぞれの部屋で過ごすのか。
料理をするのは一人なのか、家族みんななのか。
10年後、子どもが家を出たらどう暮らすのか。
その土地には、どこから光が入るのか。
風はどう通るのか。
隣の家からどう見えるのか。
こうしたことまで考えると、本来、家は家電のようにスペック表だけで選べるものではありません。
本当に良い家をつくっていても、違いが伝わらない
私たちが建築会社のWeb集客に関わっていると、もったいないと感じることがあります。
地域の気候を考える。
土地を見て設計する。
住む人の生活を細かく聞く。
材料を選ぶ。
職人と長い関係を築く。
施工中も細かなところまで確認する。
建てたあとも付き合いを続ける。
ところが、それを工務店がホームページで伝えようとすると簡単ではありません。
「高気密・高断熱」
「耐震等級3」
「自然素材」
「自由設計」
といった言葉だけでは、その会社が本当に大切にしている家づくりまでは伝わらないからです。さらに、見る側に判断するための知識がなければ、その違いはもっと分かりにくくなります。
どれだけ丁寧につくっていても、「で、結局いくらなの?」「こっちの会社と何が違うの?」となってしまう…。これは、良い家づくりをしている工務店にとって、かなり苦しい状況です。
良い工務店を増やすだけでは、住宅業界は変わらない
住宅業界を良くしたいと考えたとき、私たちはどうしても「つくる側」に目を向けます。
もっと性能の良い家をつくろう。
もっと施工品質を高めよう。
職人の技術を残そう。
地域に良い工務店を増やそう。
もちろん、どれも大切です。でも、最近思うのは、つくる側だけが変わっても十分ではないのではないかということです。どれだけ良い工務店があっても、その違いを選ぶ側が判断できなければ、選択肢に入らないかもしれません。
つまり、良い家をつくる会社を増やすことと、良い家を選べる人を増やすこと。この両方が必要なのではないでしょうか。
「家を建てよう」と思ってからでは、時間が足りない
住宅会社のホームページやInstagram、YouTubeなどを見ていると、家づくりについて本当にたくさんの情報が発信されています。
「断熱性能とは?」
「気密性能はなぜ大切?」
「耐震等級3とは?」
「土地探しで気をつけること」
「住宅ローンはいくらまで借りていい?」
「注文住宅と建売住宅の違い」
「良い工務店の選び方」
こうした情報を発信することは、とても大切です。私たちゴッタライドも、建築会社のWeb集客を支援する中で、「お客様に家づくりについて知ってもらうためのコンテンツをつくりましょう」とお伝えすることがあります。
住宅は、分からないことが多い商品です。だからこそ、住宅会社側から情報を発信し、お客様に知識を持ってもらう必要があります。いわゆる「顧客教育」です。
ただ、住宅業界に長く関わっていると、同時にこんなことも思うようになりました。家を建てようと思ってから、全部勉強してもらうのは、そもそも時間が足りないのではないかと。
家づくりを始めた瞬間から、覚えることが多すぎる
初めて家を建てる人が覚えなければならないことは、本当にたくさんあります。まず住宅会社を探さなければいけません。工務店、ハウスメーカー、設計事務所。それぞれ何が違うのか。
土地を持っていなければ、土地探しも必要です。土地の価格だけではなく、立地、学区、交通、日当たり、地盤、ハザードマップ、法規制なども確認しなければなりません。
お金についても考えなければいけません。自己資金はいくら必要なのか。住宅ローンはいくら借りられるのか。いくらなら無理なく返せるのか。変動金利と固定金利はどう違うのか。
さらに家そのものについても、断熱、気密、耐震、構造、換気、屋根、外壁、窓、設備、間取り、収納、メンテナンス……。
次から次へと知らない言葉が出てきます。そして、それらを勉強しながら同時に、「どの会社にお願いするのか」という大きな決断までしなければなりません。
家の勉強だけをしていられるわけではない
しかも、多くの人は家づくりだけをして生活しているわけではありません。
仕事があります。
家事があります。
子育てがあります。
休日には住宅展示場や完成見学会へ行き、夜になったらスマートフォンで住宅会社を調べる。Instagramで施工事例を見て、YouTubeで家づくりについて勉強する。住宅会社からもらった資料を読む。夫婦で話し合う。その中で土地も決め、住宅会社も決め、間取りも考え、お金のことも決めていく。
これだけのことを短期間でやるのですから、すべてを理解してから家を建てるというのは、現実的にはかなり難しいと思います。
住宅会社は「家を売る前に、家について教える」ところから始めている
だから住宅会社は、お客様に自社のことを説明する前に、まず家づくりそのものについて説明する必要があります。
例えば断熱性能に力を入れている工務店なら、「うちの断熱性能は優れています」と言うだけでは伝わりません。その前に、
「そもそも断熱とは何か」
「なぜ断熱性能が必要なのか」
「断熱性能が違うと暮らしがどう変わるのか」
というところから説明する必要があります。
耐震についても同じです。
自然素材についても同じです。
メンテナンスについても同じです。
つまり住宅会社は、「自社の良さを伝える」前に、「良い家とは何かを説明する」ところから始めなければならない。これは住宅業界では当たり前になっていますが、改めて考えると、なかなか大変なことです。
しかも「正しい情報」を見分けるのも難しい
今は、家づくりについて調べようと思えば、いくらでも情報が出てきます。
Googleで検索する。
Instagramを見る。
YouTubeを見る。
TikTokを見る。
生成AIに質問する。
昔に比べれば、家づくりについて勉強できる環境は圧倒的に整っています。一方で、情報が増えたからこその難しさもあります。
ある人は「この工法が一番」と言う。
別の人は「その工法はやめた方がいい」と言う。
ある住宅会社は「ここまで性能が必要」と言い、別の住宅会社は「そこまで必要ない」と言う。
SNSでは、短く、強く、分かりやすい主張ほど目に入りやすくなります。そうなると今度は、「誰が言っていることを信じればいいの?」という問題が出てきます。
基礎知識があれば、それぞれの意見を比較しながら考えることができます。でも、まったく知識がない状態では、何が正しいのかを判断すること自体が難しい。情報が少なかった時代とは違う意味で、今の家づくりは難しくなっているのかもしれません。
顧客教育を頑張れば、本当に解決するのだろうか
ここで、住宅会社側の視点に戻ってみます。「お客様が家について知らないのであれば、もっと情報発信をしよう」これは間違っていないと思います。
ブログを書く。
SNSで発信する。
YouTubeを始める。
勉強会を開催する。
完成見学会で説明する。
ホームページに詳しいコンテンツを用意する。
私たちゴッタライドも、こうした情報発信を支援していますし、これからも必要だと考えています。ただ、それだけですべて解決するかというと、そうではないとも思っています。
なぜなら、住宅会社がお客様と出会えるのは、多くの場合、その人が家を建てようと思い始めてからだからです。それまで30年近く家についてほとんど学んでこなかった人に、「これから住宅会社を決めるまでに、家について勉強してください」と言っているようなものです。
それでは、どうしても限界があります。
本来は「買う直前」に初めて知る話ではないのかもしれない
例えば、「家には定期的なメンテナンスが必要です」という話。これは家を買う直前に初めて知るべきことでしょうか。
「断熱性能によって、家の中の快適さやエネルギーの使い方が変わります」という話はどうでしょう。
「日本には地震や台風、豪雨などがあり、地域によって家に求められるものが違います」
ということもそうです。
「家は大工さんだけでつくっているわけではなく、さまざまな職人や技術者が関わっている」
ということも、家を買う人だけが知っていればいいという話ではありません。
考えてみれば、どれも私たちの生活に関わる基礎的な知識です。だったら、住宅会社と出会ってから初めて教わるのではなく、もっと前から知っていてもいいのではないでしょうか。
「顧客を育てる」だけではなく「社会の中で住まいについて学ぶ」
住宅業界では「顧客育成」という言葉をよく使います。
まだ家を建てる予定がない人に情報を届ける。
少しずつ家づくりについて知ってもらう。
そして、いつか家を建てるときに自社を思い出してもらう。
マーケティングとしては、とても大切な考え方です。
ただ、住宅業界全体を長い目で考えるなら、もう少し大きな視点があってもいいのではないかと思います。住宅会社が自社の見込み客だけを育てるのではなく、社会の中で「住」について学ぶ機会そのものを増やす。
家を建てる予定があるかどうかに関係なく、
家とはどういうものなのか。
どんな人たちがつくっているのか。
良い家とは何なのか。
家を長く使うとはどういうことなのか。
そんなことを子どもの頃から少しずつ知っていく。
そうすれば、大人になって家を選ぶとき、ゼロからのスタートではなくなります。
そして、これは「将来のお客様を育てる」という話だけではありません。「住」について子どもの頃から知ることには、もう一つ大きな意味があると思っています。家を選ぶ人だけではなく、家をつくる人を育てることにもつながるからです。
「良い家を選ぶ人」だけでなく「良い家をつくる人」も育てる
今、住宅業界では「良い家をどう売るか」と同じくらい、いや、それ以上に深刻になりつつある問題があります。それは、これからその家を誰がつくっていくのかということ。「家をつくる人」を育てることが建築業界で課題となっています。
家は、住宅会社の商品として勝手に出来上がるわけではありません。設計する人がいて、現場を管理する人がいて、実際に手を動かして家をつくる人がいる。当たり前のことなのですが、完成した住宅だけを見ていると、その向こう側にいる「つくり手」の存在はなかなか見えてきません。
そして今、その「つくり手」をこれからどう残していくのかは、住宅業界全体で考えなければならない問題になっています。
子どもたちは「家をつくる仕事」をどれくらい知っているだろう?
子どもの頃、将来なりたい職業を聞かれたことがあると思います。
先生。
医師。
看護師。
警察官。
消防士。
美容師。
スポーツ選手。
最近ならYouTuberやゲームクリエイターなども入ってくるでしょう。こうした仕事は、子どもにとって比較的イメージしやすい仕事です。
学校で会う。
病院で会う。
街で見かける。
テレビやYouTubeで見る。
つまり、その仕事を知る機会があります。では、住宅業界の仕事はどうでしょうか。
大工。
左官。
設計士。
現場監督。
電気工事。
水道設備。
板金。
塗装。
建具。
家具。
造園。
家一軒をつくるだけでも、本当にたくさんの人が関わっています。でも、子どもたちがこうした仕事を知る機会は、決して多くありません。そもそも、「家って誰がつくっているの?」と聞かれて、どこまで答えられるでしょうか。
知らない仕事は、将来の選択肢に入りにくい
将来の仕事を考えるとき、人は自分が知っている選択肢の中から選びます。知らない仕事を、「将来やってみたい」と思うのは難しいからです。
大工という仕事を知らない。
設計の仕事を知らない。
現場監督が何をしているのかわからない。
職人がどんな技術を持っているのか知らない。
それでは、住宅業界の仕事が将来の選択肢に入ってこないのも不思議ではありません。これは、「最近の若い人は職人になりたがらない」というだけの話ではないと思います。
そもそも、住宅をつくる仕事の面白さや価値を知る機会を、私たち住宅業界がつくれていないのではないでしょうか。
家が完成するまでを見たことがない。
木材を加工しているところを見たことがない。
職人が仕事をしているところを間近で見たことがない。
それなのに、大人になったとき突然、
「住宅業界で働きませんか」
「大工になりませんか」
と言っても、なかなか選択肢には入らないでしょう。
完成した家だけでは、家づくりの面白さは伝わらない
私たちは普段、家を「完成したもの」として見ることがほとんどです。街を歩いていても、目に入るのは完成した住宅です。住宅会社のホームページやInstagramを見ても、きれいに撮影された完成写真が中心です。もちろん、完成した家を見せることは大切です。でも、家づくりの面白さは、完成した家だけにあるわけではありません。
何もなかった土地に基礎ができる。
柱が立つ。
梁が組まれる。
屋根ができる。
壁ができる。
少しずつ「家」になっていく。その過程には、多くの人の技術があります。
「この家を人がつくった」という実感が薄くなっている
住宅が商品として分かりやすくなればなるほど、こうした「誰がどうやってつくったのか」という部分は見えにくくなります。
住宅展示場へ行けば、完成した家が並んでいる。
建売住宅なら、すでに完成した状態で購入する。
Webサイトでも、きれいな完成写真を見ることができる。
すると、住宅も車や家電と同じように、「どこかでつくられた完成品を買うもの」という感覚になっていくのかもしれません。でも実際には、一棟の家の後ろには多くの人がいます。
設計した人がいる。
現場を管理した人がいる。
木を加工した人がいる。
柱を組んだ人がいる。
屋根を施工した人がいる。
壁を仕上げた人がいる。
電気を通した人がいる。
水を使えるようにした人がいる。
その一つひとつが揃って、ようやく家になります。このことを知るだけでも、家を見る目は少し変わるのではないでしょうか。
「住」を学ぶことは、職業教育にもなる
だから、学校で「住」について学ぶとしたら、性能や構造だけを教える必要はないと思っています。
例えば、実際に建築中の住宅を見に行く。そんな授業があってもいいのではないでしょうか。工場見学に行くように、地域の工務店の建築現場へ行く。そこで、
「この柱は何のためにあるんですか?」
「この壁の中には何が入るんですか?」
「この家は何人くらいでつくるんですか?」
「大工さんになるにはどうすればいいんですか?」
と聞いてみる。
大工が木を加工するところを見る。
設計士から、なぜこの間取りにしたのか聞く。
現場監督から、一軒の家が完成するまでにどれだけの人が関わっているのか教えてもらう。
これも立派な「住」の授業だと思います。そして、その中の100人に1人でも、「家をつくる仕事って面白そう」と思う子どもが出てきたらどうでしょう。その子が10年後、20年後、住宅業界で働いているかもしれません。
良い工務店を残すには「そこで働く人」も必要になる
私たちゴッタライドは、建築会社の集客を支援しています。だから普段は、
どうすれば問い合わせが増えるのか。
どうすればその会社の良さが伝わるのか。
どうすれば選ばれるのか。
ということを考えています。
でも、10年後、20年後まで考えると、「お客様を集める」だけでは足りません。どれだけ集客ができても、その家をつくる人がいなければ、家は建てられないからです。
良い工務店を残していくためには、その会社を選んでくれるお客様が必要です。同時に、そこで働く人も必要です。
良い家を設計する人。
良い家を施工する人。
技術を受け継ぐ人。
そして、その人たちを育てる会社。
つまり住宅業界を良くしていくためには、「良い家をつくる会社」だけを増やせばいいわけではありません。「良い家を選べる人」そして、「良い家をつくる人」も一緒に育てていく必要があります。
この3つが揃って、初めて良い家づくりが次の世代まで続いていくのではないでしょうか。では、その入口をどこにつくるのか。私たちは、もっと早くてもいいと思っています。
家を建てる30代になってからでもない。就職活動をする高校生や大学生になってからでもない。もっと小さい頃から、「住」について知る機会があってもいい。だからこそ、「衣」と「食」を学校で学ぶように、「住」についても義務教育の中でもっと扱ってもいいのではないかと。
義務教育で「住」を学んでもいいんじゃないか
ここまで書いてきたことを考えていくと、私たちは一つのところに行き着きます。だったら、もっと子どもの頃から「住」について学んでもいいんじゃないかと。
もちろん、小学生や中学生に住宅の専門知識を教えよう、という話ではありません。断熱性能の細かな数値を覚える必要もありませんし、構造計算ができるようになる必要もありません。「将来、失敗しない住宅会社選びができるように勉強しましょう」という話でもありません。もっと基本的なことでいいと思うんです。
自分たちが毎日暮らしている「家」は、どうやってできているのか。
どんな人がつくっているのか。
なぜ地域によって家の形が違うのか。
なぜ家は暑くなったり、寒くなったりするのか。
建てた家は、その後どうなっていくのか。
そんなことを知る機会が、義務教育の中にもう少しあってもいいのではないでしょうか。
まずは「家はどうやってできている?」からでいい
例えば、小学生なら、「家はどうやってできるの?」というところからでもいいと思います。更地だった場所に基礎ができて、柱が立ち、屋根ができ、壁ができていく。一軒の家が完成するまでには、大工だけでなく、さまざまな職人や専門家が関わっている。
家に使われている木は、もともとは山に生えていたものかもしれない。蛇口をひねれば水が出るのも、スイッチを押せば電気がつくのも、そこに設備や配管、配線があるからです。普段当たり前に使っている家を少し分解して考えてみるだけでも、学べることはたくさんあります。
自分の家を観察するだけでも「住」の授業になる
例えば、
「自分の家には窓がいくつある?」
「どちらの方向に大きな窓がある?」
「夏、家の中で一番暑い場所はどこ?」
「冬、一番寒い場所はどこ?」
「家の中で家族が一番集まる場所は?」
「家の中で不便だと思うところは?」
そんなことを調べる宿題があっても面白いと思います。
自分が普段何気なく暮らしている家を、改めて観察してみる。それだけでも、「住まいは自分たちの暮らしとつながっている」ということに気づくきっかけになります。
なぜ北海道と沖縄では、同じ家を建てないのか
もう少し学年が上がったら、地域と住宅の関係を考えてみるのも面白いでしょう。例えば、「北海道と沖縄で、まったく同じ家を建てたらどうなる?」という問いです。
寒い地域。
暑い地域。
雪が多い地域。
台風が多い地域。
雨が多い地域。
海に近い地域。
山間部。
同じ日本でも、地域によって気候や環境は大きく違います。だから本来、家づくりもその土地と無関係ではありません。これは住宅だけの勉強ではなく、地理や理科にもつながります。
太陽がどこから昇るのか。
風はどう動くのか。
なぜ結露するのか。
熱はどう伝わるのか。
木にはどんな特徴があるのか。
地域にはどんな気候の特徴があるのか。
そう考えると、「住」は単独の科目として教えなくても、今あるさまざまな教科と組み合わせることができます。
家の「暑い・寒い」にも理由があることを知る
例えば、子どもでも、「自分の部屋、冬になるとすごく寒い」「2階は夏になると暑い」と感じることがあります。でも、その理由まで考えることはあまりありません。そこで、
なぜ夏の2階は暑くなりやすいのか。
なぜ窓の近くは寒く感じるのか。
なぜ結露が起きるのか。
断熱材は何のために入っているのか。
窓が違うと何が変わるのか。
といったことを考えてみる。
専門的な性能値を覚えなくても、「家のつくりによって、暮らしやすさは変わる」ということが分かれば十分だと思います。それを知っているだけでも、将来自分が家を選ぶときの見方は変わるはずです。
「家はいくら?」だけではなく「家にはずっとお金がかかる」ことも教える
中学生くらいになれば、お金の話をしてもいいかもしれません。
家は、買ったら終わりではありません。電気代やガス代、水道代がかかります。固定資産税もあります。屋根や外壁、設備などは、いつか修理や交換が必要になります。建ててから何十年も使っていくものだからこそ、維持するためのお金も必要です。
ところが、住宅を購入するときには、どうしても最初の価格に目が向きます。「この家はいくら?」「月々いくらで買える?」もちろん大切なことです。でも、安く買えることと、長く安く暮らせることは、必ずしも同じではありません。
こうした考え方も、住宅購入の直前になって住宅会社から初めて聞くのではなく、生活に必要なお金について考える教育の中で触れてもいいのではないでしょうか。
新築だけが「住」を考えることではない
「住」の教育というと、どうしても「家を建てること」を想像してしまいます。でも、すべての人が新築住宅を建てるわけではありません。
賃貸住宅で暮らす人もいます。
中古住宅を買う人もいます。
実家を受け継ぐ人もいます。
マンションを選ぶ人もいます。
古い家をリフォームして暮らす人もいます。
だから、「どんな新築住宅を建てればいいのか」を教える必要はありません。むしろ、「自分はどんな場所で、どんな暮らしをしたいのか」を考えることの方が大切だと思います。
都会に住むのか。
地方に住むのか。
一戸建てなのか。
マンションなのか。
新しい家なのか。
古い家を直して暮らすのか。
家族と暮らすのか。
一人で暮らすのか。
「住」について学ぶことは、将来家を買うためだけではなく、自分の暮らし方について考えることでもあります。
地域の工務店だからこそ、教えられることがある
子どもたちに教える領域には、地域工務店が担える役割もあると思っています。住宅会社は、家を「売る場所」だけではありません。その地域で長く家をつくってきた会社には、地域の住まいについて蓄積してきた知識があります。
この地域では、昔どんな家が建てられていたのか。
なぜその形になったのか。
どんな木が使われてきたのか。
気候に対して、どんな工夫をしてきたのか。
昔の家と今の家では何が違うのか。
こうしたことは、全国共通の教科書だけではなかなか学べません。地域の工務店や職人が学校と関わることで、「地域に根ざした住の教育」ができる可能性もあります。
「良い家の正解」を教える必要はない
ただ、ここで一つ大切にしたいことがあります。学校で「住」を学ぶとしても、「こういう家が正しい」と教える必要はないと思います。
木造が正解。
高性能住宅が正解。
注文住宅が正解。
地元工務店が正解。
そんな教育になってしまったら、それは少し違います。
家に求めるものは、人によって違います。
予算も違います。
暮らし方も違います。
住む地域も違います。
価値観も違います。
だから教えるべきなのは「正解」ではなく、「家にも違いがある」ということ。そして、「その違いを自分で考えるための基礎知識」なのではないでしょうか。
「なぜこの家はこうなっているんだろう?」
「自分だったら、どんな家で暮らしたいだろう?」
「この家をつくった人は、何を考えたんだろう?」
そんな疑問を持つことができれば、それだけでも大きな一歩です。
「住」を学んだ子どもが大人になったら住宅業界は変わるかもしれない
仮に、小学生や中学生の頃からこうした「住」の教育を受けた世代が大人になったら、どうなるでしょうか。住宅会社を選ぶときに、会社の知名度や価格だけではなく、「この会社は、どんな考え方で家をつくっているんだろう?」と考える人が増えるかもしれません。
完成した家を見たときにも、「オシャレ」「広い」だけではなく、
「なぜこの窓はここにあるんだろう?」
「この家は冬も暖かいのかな?」
「誰がこの家をつくったんだろう?」
と見るようになるかもしれません。
そして、その中から、「自分も家を設計してみたい」「大工になってみたい」「地域の家づくりに関わりたい」と思う人が出てくるかもしれない。そう考えると、「住」を義務教育で学ぶことは、単なる住宅購入のための消費者教育ではありません。
良い家を選べる人を育てること。
良い家をつくる人を育てること。
そして、その両方を通じて、
良い家づくりを次の世代へ残していくこと。
そこまでつながっているのではないかと思います。もちろん、義務教育に「住」を入れれば、住宅業界の問題がすべて解決するわけではありません。でも、住宅業界が10年後、20年後も今と同じように、「家を建てようと思った人に、そこから家について全部教える」というやり方だけを続けていていいのか。私たちは、一度考えてみてもいいのではないでしょうか。
住宅業界にいる私たちには何ができるのか
ここまで、「住」についてもっと子どもの頃から学ぶ機会があってもいいのではないか、という話をしてきました。では、本当に義務教育の中で「住」を学ぶようになれば、それですべて解決するのでしょうか。
もちろん、そんなに単純な話ではありません。
学校教育が変わるとしても、長い時間がかかります。そして、教育だけ変わっても、住宅業界そのものが変わらなければ意味がありません。だからこそ、住宅業界にいる私たち自身も、「今、自分たちに何ができるのか」を考える必要があると思っています。
良い家をつくっているだけでは、残っていけない
住宅業界に関わっていると、「本当に良い家をつくっていれば、いつか分かってもらえる」という考え方に出会うことがあります。気持ちはとてもよく分かります。家づくりに真剣に向き合っている会社ほど、営業やマーケティングよりも、「まず良い家をつくることが大切だ」と考えるのは当然だと思います。
もちろん、良い家をつくることは大前提です。でも、それだけでは残念ながら十分ではありません。
どれだけ良い家をつくっていても、その会社の存在を知らなければ選んでもらえません。存在を知ってもらえても、何が良いのか分からなければ比較できません。そして、違いが伝わらなければ、「有名だから」「安いから」「近くに展示場があるから」「営業担当者が熱心だったから」といった、別の分かりやすい理由で住宅会社が選ばれていきます。
良いものをつくることと、良いものだと伝わることは、別の問題です。だから、良い家づくりを残していきたいのであれば、「伝えること」から逃げることもできないと思っています。
私たちがやっているWeb集客も、そのための一つの手段
私たちゴッタライドは、工務店やリフォーム会社をはじめとした建築会社のWeb集客を支援しています。
ホームページをつくる。
施工事例を掲載する。
ブログを書く。
SEOを考える。
Web広告を出す。
SNSを運用する。
一つひとつを見ると、いわゆる「集客施策」です。
問い合わせを増やす。
見学会の予約を増やす。
資料請求を増やす。
もちろん、それが私たちの仕事です。でも、この記事を書きながら改めて考えると、その先にあるものは、もう少し大きいのかもしれません。
例えば、ある工務店が、
「なぜこの材料を使っているのか」
「なぜこの地域では、この性能が必要なのか」
「なぜこの間取りを提案したのか」
「なぜこの家をこう設計したのか」
ということをホームページで丁寧に伝える。それを読んだ人が、「家って、そんなところまで考えてつくるんだ」と初めて知る。これも、小さな「住の教育」だと思うんです。
施工事例も、本当は「家づくりを知る教材」になる
例えば、施工事例。住宅会社のホームページでは、きれいな写真を並べて、「素敵な家ができました」で終わっている施工事例も少なくありません。でも、本当に伝えてほしいのは、その家の見た目だけではありません。
どんな家族が暮らす家なのか。
その家族は、家を建てる前にどんなことで困っていたのか。
どんな要望があったのか。
それに対して、設計者は何を考えたのか。
なぜ、この場所に窓をつくったのか。
なぜ、この動線にしたのか。
なぜ、この材料を選んだのか。
住み始めて、暮らしはどう変わったのか。
そこまで伝えれば、施工事例は単なる「作品集」ではなくなります。見る人に、「家って、こうやって考えてつくるんだ」と知ってもらうコンテンツになります。それを積み重ねることも、住宅業界ができる「住を伝える活動」の一つではないでしょうか。
「性能がいい」ではなく、なぜそれが必要なのかまで伝える
住宅会社の発信では、どうしても結果だけを伝えがちです。
「高気密・高断熱です」
「耐震等級3です」
「自然素材を使っています」
「長期優良住宅です」
もちろん、こうした情報も必要です。でも、家について詳しくない人からすれば、「それが自分の暮らしとどう関係するの?」というところが分かりません。だから、「高性能です」で終わらせるのではなく、なぜその性能が必要なのか。それによって暮らしがどう変わるのか。逆に、そこを考えなかったらどんなことが起こる可能性があるのか。そこまで伝える。
これは単に「売るための説明」ではありません。住宅会社が持っている専門知識を、一般の人にも分かる言葉に変えて社会へ出していくことです。
住宅会社には、もっと発信できる知識がある
私たちは建築会社の方と話していて、「それ、もっとお客様に伝えた方がいいですよ」と思うことがよくあります。でも、本人たちにとっては当たり前すぎて、発信するほどのことではないと思っている。何十年も住宅業界にいる人にとっての「当たり前」と、初めて家を建てる人の「当たり前」はまったく違います。
職人にとって普通のこと。
設計士にとって普通のこと。
現場監督にとって普通のこと。
工務店の社長にとって普通のこと。
その中には、これから家を建てる人が知ったら、家の見方が変わるような知識がたくさんあります。だから住宅会社には、「自社を売るための情報」だけではなく、「家について知ってもらうための情報」も、もっと発信してほしい。そう思っています。
Web集客は「良い工務店をちゃんと選択肢に入れてもらう仕事」でもある
私たちがWeb集客を支援していて、一番もったいないと思うのは、良い家づくりをしているのに、知られていない会社があることです。
家づくりに対する考え方がある。
施工も丁寧。
お客様にも真摯に向き合っている。
建てたあともきちんと面倒を見る。
でも、ホームページを見ると、その良さがほとんど伝わっていない。
施工事例の写真だけが並んでいる。
会社の考え方が書かれていない。
誰が家をつくっているのかも分からない。
どんな人に相談してほしい会社なのかも分からない。
これでは、お客様がその会社を選ぼうにも、判断材料がありません。だから私たちは、良い工務店が「良い工務店であること」を、ちゃんと伝えられる状態をつくる。それもWeb集客会社の役割だと思っています。
問い合わせを1件増やすことだけが目的ではありません。その地域で家を建てようとしている人の選択肢に、本当に良い家づくりをしている会社がきちんと入る。そのためにWebサイトやコンテンツをつくる。そんな仕事でもあると思っています。
ただ、Webマーケティングだけでは住宅業界は変えられない
一方で、ここまでこの記事で書いてきたように、Webマーケティングだけですべて解決できるとも思っていません。
どれだけ分かりやすいホームページをつくっても、
どれだけ良いブログを書いても、
どれだけSNSで発信しても、
それだけで住宅業界全体が変わるわけではありません。
家をつくる人がいなくなれば、良い家づくりは続きません。良い家を判断できる人がいなければ、良い工務店が選ばれるとも限りません。そして、住宅会社自身が良い家づくりを続けなければ、伝えるものそのものがなくなります。
だから必要なのは、
「良い家をつくる」
「良い家を伝える」
「良い家を選べる人を育てる」
「良い家をつくる人を育てる」
ということを、別々の問題として考えないことなのではないでしょうか。全部つながっています。
10年後、20年後の住宅業界から逆算して考える
マーケティングの仕事をしていると、どうしても目の前の数字を追います。
今月の問い合わせ数。
アクセス数。
広告の費用対効果。
見学会の予約数。
もちろん、事業を続けていくためには大切です。でも、住宅は本来、もっと長い時間軸のものです。今日建てた家には、10年後も20年後も誰かが暮らしています。30年後、50年後にも残っているかもしれません。
だったら住宅業界に関わる私たちも、「今月どうするか」だけではなく、「20年後、この業界をどうしたいのか」をもう少し考えてもいいのではないでしょうか。
良い工務店が地域に残っている。
そこで若い人が働いている。
職人の技術が次の世代へ受け継がれている。
そして家を建てる人も、住宅会社の名前や価格だけではなく、「この会社は、どんな考え方で家をつくっているんだろう」と見てくれる。
そんな住宅業界になれば、今とは少し違う家づくりができるかもしれません。義務教育で「住」を学ぶことは、そのための一つの方法にすぎません。
Webサイトで発信することも一つ。
子どもたちに建築現場を見てもらうことも一つ。
職人の仕事を伝えることも一つ。
地域の工務店が、自分たちの家づくりについてもっと発信することも一つです。一つだけで住宅業界が変わるわけではありません。
でも、「良い家づくりを、次の世代にどう残すか」という視点でそれぞれの取り組みを考えていくことは、できると思います。そして私たちゴッタライドも、建築会社のWeb集客に関わる会社として、その一端を担っていきたいと考えています。
まとめ
ここまで「住」について、いろいろと書いてきました。
とはいえ、私たちゴッタライドが義務教育を変えられるわけではありません。今現在、子どもたちに家づくりを教える活動をしているわけでもありません。「住宅業界を変える」なんていう大きなことが、私たちだけでできるとも思っていません。
それでも、住宅業界に長く関わってきた会社として、
良い家をつくる会社を残したい。
良い家を選べる人を増やしたい。
そして、良い家をつくる人が次の世代にも続いてほしい。
そんなことを考えています。この記事を読んでくださった建築会社の方が、
「今度、地域の子どもたちに現場を見てもらおうかな」
「自分たちが持っている家づくりの知識を、もっと地域に伝えてみようかな」
と思ってくれたらうれしいです。
また、もし教育に関わる方がこの記事を読んで、「学校でも『住』について考える機会をつくれそうだな」と思ってくださったら、それもうれしいです。私たち自身にはできないことでも、この記事をきっかけに、誰かが何かを始めてくれるかもしれない。そんな小さなきっかけになればと思っています。
ゴッタライドが今できること
そして、私たちゴッタライドが今できるのは、建築会社の皆さんが持っている家づくりへの考え方や価値を、必要としている人にきちんと届けることです。
ゴッタライドでは、工務店・リフォーム会社をはじめとした建築会社に特化して、ホームページ制作・運用、Web広告、SEO、コンテンツ制作など、Web集客を幅広く支援しています。
「良い家をつくっているのに、その違いが伝わっていない」
「ホームページから問い合わせが来ない」
「自社の強みをどう発信したらいいか分からない」
「これからWeb集客をどうしていけばいいのか相談したい」
そんな建築会社の方に向けて、無料相談も行っています。目の前の問い合わせを増やすことはもちろん大切です。でも、その先にある、ちゃんとした家づくりをしている会社が、ちゃんと伝わり、ちゃんと選ばれること。私たちはWebという分野から、そんな住宅業界をつくるお手伝いができればと思っています。
自社のWeb集客や情報発信について悩んでいることがあれば、ぜひお気軽にゴッタライドへご相談ください。
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